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安倍政権の末路と日本の行方~社会時評 [社会時評]

安倍政権の末路と日本の行方~社会時評

 

結局は自民内で政権たらい回し?

A)いよいよ、安倍晋三政権がレームダック状態に入った。政権側が加計・森友疑惑を晴らすことができないまま1年が過ぎ、ここに至って公文書改ざん問題に続き、愛媛県職員メモというかたちで3年前の首相秘書官による「首相案件」発言が明るみに出た。このほかにも、森友学園への国有地払い下げをめぐって財務省による口裏合わせ要請、大阪航空局に対する近畿財務局のごみ積算増量要請…と、疑惑は深まるばかりだ。

B)これに対して、「首相案件」発言をしたとされる柳瀬唯夫・経産審議官は「記憶の限りでは愛媛県、今治市職員らとは会っていない」と逃げたコメントを発表。安倍首相は公文書管理をめぐる衆院の集中審議で「部下を信じる」と述べるばかりだ。柳瀬氏の記憶を信じるといっているだけで何の信ぴょう性もない。

C)首相や官邸スタッフが逃げを打つのは、隠ぺい工作の一環だと仮定すれば極めて腑に落ちる行動だ。一方、悲願だった獣医学部が日の目を見た愛媛県にしてみれば、柳瀬発言をもしでっち上げたとすれば、そこに一体どんなメリットがあるのだろう。そもそも、首相秘書官が言ってもいない発言を地方自治体職員がさもあったかのように作り上げるということがあるだろうか。

A)そう考えれば、この勝負は既に決着済みだ。そのうえ、愛媛メモと同一内容の文書が農水省から出てきた。柳瀬発言を受けて愛媛県職員が「葵の御紋」よろしくメモを片手に関係省庁に触れ歩いたということだろう。普通ならこの時点で「恐れ入りました」と内閣総辞職する。これ以上、政権にしがみつけば、安倍首相は「恥知らず」と罵倒されるだろう。遅かれ早かれ、安倍政権は退陣せざるを得ない。では、その後のシナリオは。

B)かつての中選挙区であれば、自民内に厳然たる派閥力学が働いた。しかし、今は小選挙区でそうではない。今の安倍首相も、幹事長、官房長官を経験しただけで重要閣僚の経験なく首相になった。「権力の階段を上る」というプロセスがまったくないのが、今の政治システムだ。

C)常識的には石破茂元幹事長、岸田文雄政調会長あたりが後継候補と目されそうだが…。安倍政権が残した負のイメージを払しょくする意味では、野田聖子総務相あたりがダークホースか。小泉進次郎筆頭副幹事長もゼロではないが、どうかな。要請されても本人が断るのでは。いずれにしても、巷間いわれている以上の予想は持ち合わせていない。

A)そこであえて「派閥力学」に話を戻すが、最近額賀派が竹下派に衣替えした。大宏池会構想も、まだ消えたわけではない。竹下派はかつての経世会。宏池会も経世会も、もとは吉田学校を源とする保守本流意識が強い。政治路線も、宮澤喜一氏や野中広務氏、後藤田正晴氏らハト派色が強い。改憲や軍国主義路線を強引に推し進めようとした安倍政権とは一線を引く意味で、この二つの潮流が手を組めば、少しは自民党政治も変わるのではないか。その場合、トップに石破氏がなるか岸田氏がなるかはそれほど重要ではないと思う。

B)うーむ、そんなにうまくいくだろうか。

C)あと、二階派がどう動くか。二階俊博幹事長の動きも、政局に影響を与えるだろう。

A)二階氏は、権力の掌握には関心はあっても、政策にはあまり関心がないのでは。キーパーソンにはならないと思う。

B)しかし、ここにきて「与野党交代を」という世論が起きないのも情けない話だ。

 

劣化する官僚組織

A)安倍政権下では、官僚の劣化が目立った。森友学園問題をめぐって口裏合わせを求めるなどの財務官僚の動きもひどいが、週刊新潮が報じた福田淳一財務省事務次官の女性記者に対するセクハラ発言もひどい。週刊誌報道とはいえ、音声データまで出てきたから、これもおそらく事実だろう。このまま事務次官を続けられるとは思えない。

B)元東大全共闘代表の山本義隆氏が「近代日本一五〇年」(岩波新書)という本を書き、その中で、士農工商の最上位にいた武士が工業や商業を担当するにあたっては、特別なエリート意識を植え付ける必要があったとの説を紹介している。日本の場合、市民社会が未発達な中で近代化を推進する必要があり、その際に士族は一定の教養があり、家(国家)を守るというエートスを植え付けられた存在である点で近代国家建設に格好の集団だった。世界に冠たる官僚組織の出現は、武士階級の存在があったからだといえなくもない。山本氏は技術エリートの誕生の背景を述べているだけだが、この説は官僚組織一般に広げることも可能だろう。

C)日本の近現代史を研究するジョン・ダワー・マサチューセッツ工科大名誉教授も日本の官僚組織の優秀性を認めており、その観点で「昭和」を書いている。すなわち、日本の官僚制は戦後も温存され、それが高度経済成長を生んだとする見方だ。つまり、日本は戦前、戦中、戦後を通じて社会の骨格は変わらなかった。「昭和」はひとつながりだったとする説だ。

A)その伝で行くと、明治以降の日本が進めてきたのは国家総動員体制の確立であり、その一つがアジア・太平洋戦争、そしてもう一つは高度経済成長だったことになる。

B)城山三郎の小説に「官僚たちの夏」があり、ミスター通産省と呼ばれた佐橋滋をモデルにしている。国家を背負って立つかのような剛腕事務次官で、政治家とも対等に渡り合ったという。

C)確かに、日本社会が成熟するまでは腕力のある官僚も必要だった。しかし、日本という国のかたちが一応整った現在、ペーパーテストで優秀な成績を収めた人たちが国を動かすというのはどうか。官僚主導から政治主導というのは、ある側面では正しい。しかし、官僚はもともと上目遣いで生きる人たちだ。そこに「内閣人事局」などというリモコン装置を設置すれば、弊害ははなはだしいというのも予想できたことだ。

A)国家総動員体制の時代も終わり、政治主導といいながら官邸が無理難題、非合理的なことを押し付けてくる。これが、官僚組織を取り巻く今の風景ではないか。

B)山本周五郎の小説「樅ノ木は残った」は藩の存続のために自ら汚名をかぶる武士の話だが、果たして今、官僚たちは汚名をかぶることで何を守ろうとしているのだろうか。

C)公文書改ざん問題では、大阪地検特捜部が立件見送りを決めたと毎日新聞が報じた。行政、立法に続いて司法よお前もか、という感じだ。

B)そこは少し違う感覚を持っている。問題の発端は選挙を通じてこんな政権を作ってしまったことにある。その解決を司法に求めても仕方がない。検察もしょせんは官僚だ。政治が国民意識の反映だとすれば、まともな政治をする政権を、選挙を通じて求めていくしかないのではないか。

 

相撲協会・レスリング協会に共通する問題

A)目を転じてみる。日本相撲協会、日本レスリング協会と、スポーツ関連の公益法人団体の醜態が目についた。

B)相撲協会の、日馬富士の暴行事件に端を発した一連の騒動。結局、貴乃花一人が悪者にされて一件落着という形になった。もとは日馬富士の暴行事件なのに、貴乃花が親方衆に取り囲まれて詰問されるという異常な事態もあったようだ。

C)しかし、貴乃花の対応に問題もある。

B)その、どっちもどっち、というのはよくない。本当にいけないことは何なのかを突き詰めないと。

A)最近では、舞鶴市での巡業で市長が倒れ、救急措置を施した女性に「土俵に上がらないで」とアナウンスした行司がいた。ちびっこ相撲では、昨年まで認められた女児の参加が認められなくなった。

B)日馬富士の事件も女人禁制の話も、なぜそうなるのかという話が伝わってこず、結論だけが下されている。舞鶴巡業での行司がそうであったように、マニュアルだけがあって「みんなそれに従え」と言っているだけのように見える。なぜ女性が土俵に上がってはいけないのか、これだけの騒ぎになっているのにいまだよく分からない。

C)相撲協会の話になると、ワイドショーでは相撲記者クラブ会友と称するベテラン記者たちが出てくるが、彼らの言っていることを聞けば単なる御用記者だとすぐわかる。もともと、暴力はいけないとか、男女差別はあってはならないとか、社会一般の話なのだから彼らが出てくる余地はない。ワイドショーも人選を考えたほうがいい。

A)一方、レスリング協会は。

B)伊調馨の言動が栄和人・女子レスリングコーチの癇に障ったのだろうが、この件では吉田沙保里の言動が頭に浮かんだ。個人的な付き合いはないので詳しくは分からないが、第三者的に見ると対照的だ。一言でいえば吉田はコーチに従順であり、マニュアル通りに動く。伊調はそのマニュアルを無視して、自分の納得のいくまで考え、行動する。少なくともそのように見える。その結果、吉田は志學館大副学長に登用されるなど寵愛され、伊調は弾かれた…。

C)吉田は乳酸飲料の不気味なCMにも出ている。

A)伊調が五輪4連覇の後、しばらく考えたいといって次を目指すかどうか明らかにしなかった心境はわかる。しかし、そこをとらえて「そもそも伊調さんは選手なのか」といった志学館大学の学長会見もひどかった。

B)伊調はオリンピック4連覇、吉田は3連覇止まりだ。伊調のレスリングへの向き合い方は「レスリング道」とも呼べるものだ。伊調が追求しているものがレスリング道なら、選手であるかないかなどどうでもいいことだろう。

A)この点で相撲協会のトラブルと共通点があるかもしれない。貴乃花は相撲道を追い求めて相撲協会から疎んじられた。伊調も、レスリング道を追うあまり栄コーチの不興を買った。結局は表面上のマニュアルを順守して立ち回る人間だけが組織の中枢に残る。

B)官僚組織もそうだろうか。

A)そこはもう少し見ないと分からない。もうひとひねりありそうだ。

 


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