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日本の政治は変わるのか~社会時評 [社会時評]

日本の政治は変わるのか~社会時評

 

「希望」の風は吹かない

A)総選挙の構図がようやく見えてきた。

B)自民、公明が一つ、希望、維新がもう一つ、立憲民主党、社民、共産が三番目のブロック。二つの保守と一つの市民派リベラル+共産という構図だ。

C)希望は、あれだけ政権選択の選挙といったのだから、定数の過半数は候補を立てるだろうが、一挙に政権交代というのは難しい情勢だ。いいかえれば、それほどの風は吹かないだろう。

A)これまでの衆院選を振り返ると、積極的無党派層が全国で約2000万人いるが、これが雪崩を打たないと一気に政権を取る議席数にはならない。民主党政権誕生の時はこの2000万票が動き、結局民主は3000万票を取った。

B)なぜ、そうした情勢が生まれないのか。

A)二つある。一つは、この無党派層は市民派リベラルへのシンパシーが強い。だから、市民派リベラルに開かれていないと無党派層のなだれ込みは期待できない。その点、希望がリベラル切りを行ったことで、自らの可能性をふさいでしまった。もう一つは、小池百合子代表の強権的な政治手法が見えてしまったこと。都知事選と都議選では、古い体質の都議会に挑むか弱いジャンヌダルクという構図を作れたが、今回の希望と民進の「合流」では、女帝に仕分けされる民進の哀れな議員という構図になった。知事選とは全く逆だ。そこを有権者は見ている。

B)いまさら死んだ子の年を数えても仕方ないが、小池さんが民進党議員を丸呑みしていたら。野合批判は起きたかもしれないが、それ以上の化学反応が起きた可能性もある。小池さんは「アウフヘーベン」という言葉をよく使うが、その割には言葉の意味を理解していなかった。

C)要は小池百合子という政治家の器量の問題だ。都議会の最終日に都民ファーストの2議員が離党したことも、これまで垣間見えていた希望の党の運営への疑問の傍証となった。離党議員が言うように都民ファーストの中で議員活動が制限されていたとすれば論外の話だ。民進党議員に突き付けた政策協定書というのも、かなり評判が悪い。

B)トップが強大だと、よくあることだが周囲が忖度して過剰に縛ってしまう。知事の指示で都議への言論統制をやっていたとしたら話にならないが、それはさすがにないだろう。こうした話は小沢一郎氏が政界再編の主役だったころにもよくあった。そうした類のことだろう。

C)しかし、今の希望にマイナスに働くことは間違いない。10月5日付朝日に世論調査が載っていたが、9月下旬との比較で希望は微減、自民微増だった。できたばかりの立憲民主党が民進とほぼ同じ支持を得ていたのが目を引いた。

A)立憲民主党には、判官びいきの票が集まった。節を曲げず、というのも日本人の心情に響く。

B)今回、風が吹くとすれば立憲民主党だろう。ツイッターのフォロワー数も10月5日時点で13万を超え、各党のトップになったそうだ。自民は11万、希望は数千の単位だ。

C)ただ、立憲民主党が自民に対抗して二大政党制の一翼を担うとは考えにくい。そうなるためには保守との連携がいる。

 

分水嶺は自民200議席

A)希望が単純過半数に届かないとすれば、選挙後はどういう政界地図が考えられるか。

B)希望はよくいって110止まりでは。公明、維新、共産が現状維持で立憲民主党に風が吹き、70議席取ると自民は190議席になる。解散前より100議席以上減らし大惨敗だ。情勢は今後変わるかもしれないが、現時点で考えられるのはこのぐらいの数字だ。希望と維新で150。これに公明の3040がつくと、自民と拮抗した数字になる。これに旧民進から無所属で出た人たち、さらに自民内の反安倍色の強い人たちを入れると、完全に多数派になれる。小池サイドで現実的に考えられているのは、この線ではないか。不確定要素は立憲民主党で、予想外に不振なら4050。そうなると公明、維新、共産が増えるが、自民が200以上とれば自公路線は維持される可能性がある。分水嶺は自民の200だと思う。

A)自民200でも惨敗は惨敗。その場合、安倍晋三首相は代わるのか。

B)断言できないが、多分代わるだろう。

C)10月5日に小池さんは前原誠司・民進党代表との会談後に自社さ政権の例を持ち出した。一般論として言ったわけではなく、やはり前例として頭の中にあったのだろう。この場合の自民は希望、さきがけは維新と公明だとすると社会は自民の反安倍勢力となる。その頭の中がつい出てしまった。政権選択を言っているのに、それができなかった場合の奇襲作戦の中身を漏らしたことになる。

B)確かに、自希公維政権ができるとすれば、かなりの奇襲作戦だ。本当にそんな政権ができるのか。

C)小池さんの政治家としての体質、改憲論者とか安保法制の同調者であるとか、核武装論者とかがあるが、それとは別に希望の党が掲げる政策は穏健保守を目指しているのかと思わせるところがある。原発ゼロ政策とか。第一のキャッチフレーズが「改革主義的で寛容な保守」だ。

B)それは単にポピュリストの側面が出ているだけでは。ベーシックインカムの導入も、どこまで本気か分からない。

C)そうかもしれない。しかし、今の安倍政権に対抗する保守新党を作ろうと思えば、小池さん本人の政治信条は別として中道に近い穏健保守を目指さなければならないだろう。そうしないと広範な有権者の受け皿にならない。106日に希望の基本政策が発表されたが、おおむねそうした線だった。別の言い方をすると、枝葉の部分を除けば安保、憲法、経済政策など自民党の政策とそれほど変わらない。

 

自民の本丸が割れなければ

A)では、今回の選挙は何を問う選挙なのか。本来の意味で国のかたちを問う二大政党制にしようと思えば、自民の本丸が割れなければならない。今の安倍政権の最大の問題は、市民感覚と国政の根幹がずれてしまっていることだ。国家主義的な体制が次々と作られ、国民より国家が優先するような憲法改正草案が用意される。経済はトリクルダウンと称して企業にカネがつぎ込まれるが、企業はそれをため込むだけで庶民には回らない。社会保障は小泉純一郎政権以来の新自由主義で自己責任論が幅を利かす…。こうしたことに疑問を持つ人達への選択肢が、現状の政治の枠組みでは見当たらない。

B)国家主義的ではなく平和外交を基軸にした政権運営、経済は新自由主義でなくケインジアンにも理解される政策…。そう考えると、本来は宏池会あたりが安倍政権とたもとを分かつべきだ。かつて自民党内で比較的穏健な政策を志向した経世会が割れて新生党、新進党をつくり、政界再編の推進役になったが、政策の側面からすれば今は宏池会がその役割を担うべきだ。

A)岸田文雄・政調会長らお公家集団に、そんな荒業ができるか。

B)それをしないと、本当の保守2党体制にはならないだろう。

C)その時に危惧されるのは、市民派リベラルの声が埋没することだ。保守2党体制のアメリカで起きていることを考えたほうがいい。大統領選でバーニー・サンダーズがあれほど票をとり、白人貧困労働者の怨嗟の声を背にトランプという異形の大統領が生まれたのはなぜか。弱者や少数者の声をすくい上げるシステムが政治には必要だ。アメリカでエスタブリッシュ批判が起きたのも、そういうことだろう。その意味では立憲民主党が今後どうなるかは重要だ。できれば、こうした声を包摂するような二大政党制が生まれてほしい。あくまで現行の小選挙区制度を柱とした選挙制度が続く限りの話だが。

A)小選挙区比例代表並立制が導入されて20年になるが、これまでの政治の変遷を見ると明らかに実験は失敗だった。日本の政治風土に合わない制度といっていいが、これを変えるエネルギーが今の日本にあるだろうか。


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