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モラルなんて関係ない、私は私~映画「エル ELLE」 [映画時評]

モラルなんて関係ない、私は私~映画「エル ELLE」

 

 冒頭からレイプシーンである。覆面男に襲われたミシェル(イザベル・ユペール)はしかし、何もなかったかのように日常生活に戻っていく。そこには元夫や独り立ちできない息子やはるかに年下の男性と戯れる母やら、昔残虐な事件を起こし牢獄にいる父親や、が登場する。彼女自身はエロチックな内容のゲーム会社のCEOであるらしい。

 社内での振る舞い、近隣との付き合い、ホームパーティー…。日常の描写の中で分かることは、ミシェルはかなり自由な存在であるらしいことだ。すべての男を自分の支配下におさめ、ある意味では女帝のようでもある。それで、この話に冒頭のレイプシーンはどう結びつくの?と思い始めたころ、再び覆面男が襲ってくる。その男は、実は隣家の男であった。そこで、彼女はついにレイプそのものが喜びになる。つまり、男にレイプを要求するようになる…。

 という、モラルなんて関係ない、私は私よ、という作品である。ハリウッドだと観客との一体感を大事にする。そこから決して踏み外さない。しかし、この映画はフランスの作品である。したがって、その辺は大胆に、しかし、巧妙に踏み外す。監督は「氷の微笑」のポール・バーホーベン。主演のイザベル・ユペールはミヒャエル・ハネケ監督の「ピアニスト」にも出たフランスの押しも押されもせぬ大女優である。それにしても64歳でこんな役をこなすとは。何とも恐ろしい。そして不道徳である。2016年製作。


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