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戦禍の犠牲者はいつも弱者~映画「存在のない子供たち」 [映画時評]

戦禍の犠牲者はいつも弱者~

映画「存在のない子供たち」

 

 真っ先に戦禍の犠牲になるのは弱者、それも子供たちである。終戦直後の東京では路上や地下道に家も家族も失った子供たちが溢れた。沖縄戦では、ガマ(洞窟)の入り口で震える子供たちがいた。中東も例外ではない。終わることのない戦禍の最大の犠牲者は子供たちなのだ。ドキュメンタリー風の映像でそのことを正面から描いたのが「存在のない子供たち」である。主役の少年は訴える。「育てられないのなら生まないでくれ。僕らは地獄を生きている」と。

 ベイルートで暮らす12歳のゼイン(ゼイン・アル=ラフィア)は、地主を刺し殺し、罪に問われた。法廷で彼が訴えたのは、自分をこの世に生んだ両親の罪だった。

 ゼインには出生証明書がなかった。親が届けを出さなかったからだ。そのためまともな職に就けず、路上でいかがわしいものを売って暮らす日々を送っていた。ある日、エチオピア難民の子連れ女性ラヒル(ヨルダノス・シフェラウ)と出会う。彼女が働きに出た後、子の世話をするという約束で同居生活が始まった。しかし、ある日彼女は姿を消した。偽造した滞在許可証が期限切れになり、警察に捕まったためだ。

 ゼインは乳児を連れて必死に生きようとするがままならず、偶然出会った少女の話をヒントに国外脱出を計画。ブローカーに持ちかけるが身分証明書か出生証明書が必要だと告げられる。ゼインは自宅に戻り、必要な書類を出すよう求めるが「そんなものはない」と一蹴される。それどころか、11歳で地主と結婚?させられた妹サハル(シドラ・イザーム)が妊娠させられ、出産前に死んでしまったことを知る。

 怒りに燃えたゼインが殺人を犯し、法廷で「自分を生んだ罪」を両親に問うに至るのである。この裁判の過程で身分証を持たないゼインの実態が判明、彼はようやく身分証の顔写真を作る作業に臨み、最高の笑顔を見せる。

 監督はナディーン・ラバキー。レバノン出身でベイルートのストリートチルドレンの実態を熟知しているとされる。主役のゼイン(本名、役名同じ)も、シリアで生まれ内戦のため一家でレバノンに脱出。作中とほぼ同じ境遇に育ったといわれる。レバノン、フランス合作。

 

 存在のない子供たち.jpg


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